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西丹沢ノスタルジー

西丹沢にある「三保ダム」、高度経済成長期に築造された多目的ダムであり、今でも水道水源として貴重な役割を担っている。

建設に伴いダムにより堰き止められた河川は「丹沢湖」という人造湖を生み出し、完成当時は観光地として相当な活況を呈していたという。そうした時期にダムの主たる開発者の立場にあった水道事業者が、ダム開発により水没のために移転を余儀なくされた住民の当地への里帰り施設という名目で建設した温泉宿を兼ねた宿泊施設があった。その名前は「丹沢荘」、往時は毎年の宿泊利用客数が1万人を超える人気施設であり、リピーターも少なくなかった。しかし、21世紀に入った頃には観光地としての丹沢湖に訪れる客は漸減し始め、丹沢荘の宿泊利用客数も1万人を割り込み、その後も減少が続いた。もとより、丹沢荘のオーナーは水道事業者つまり公共団体であり、収益性の確保が難しい宿泊施設を保有し続けることは出来ないとの判断だったのだろう。今から2年ほど前についに民間事業者に譲渡されることとなった。以下は、水道事業者が公表した丹沢荘閉館のお知らせである。


               平成30年9月3日

 関 係 各 位

       神奈川県内広域水道企業団 企業長 吉 川 伸 治

    宿泊研修所「丹沢荘」閉館のお知らせ

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は当企業団事業への格別のご協力に厚くお礼申し上げます。 さて、当企業団の宿泊研修所「丹沢荘」は、昭和 55 年に開業して以来、 水没地権者の皆様をはじめ一般利用のお客様など多くの方々にご愛顧頂いて 参りましたが、諸般の事情により平成30 年9 月2 日をもちまして営業を終 了いたしました。 略儀ではございますが、まずは書中をもちまして閉館のご挨拶とともに、 関係各位の長年にわたるご厚情に心から感謝申し上げます。誠にありがとう ございました。 今後は、施設の譲渡先である「株式会社ロハス」が営業を行っていく予定 です。(営業開始日は未定) 


以上の告知と共に丹沢荘は38年余りの歴史を閉じた。

そんな施設の現状がふと気になり、現地に出かけてきた。

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施設はオーナーが変わって2年も経つというのに施設の看板は昔のまま・・・

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施設の周辺には地元の方達が植樹に力を入れてきた「ミツマタ」がたくさん植えられていた。

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施設の周辺は手入れされていないため草が生い茂ってはいるが、このまま放置されればやがて廃墟のようになってしまうだろう。


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この辺りは「中川温泉」という丹沢湖に流入する3本の河川のひとつ「中川川」の渓谷美が絵になり、そのため景勝地として人気がある。

そこには山北町が運営する日帰り温泉「ぶなの湯」がある。

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懐かしく、河原近くの遊歩道を歩いてきた。

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これから丹沢湖周辺は紅葉のシーズンを迎える。

例年なら、高校駅伝の県予選や丹沢湖ハーフマラソンなどが湖岸の周回道路をコースに開催される時期だが、今年は新型コロナの感染防止のためみな中止となった。

それでなくても静かすぎる丹沢湖が、人造湖としては美しいその姿を西丹沢の標高300メートル余りの山間に潜めたまま今年も残り2ヶ月となった。


(11月6日 追記)

その後、関連記事を探してみたらローカル紙のタウンニュース足柄版(2018年9月15日号)に「中川温泉 丹沢荘が閉館」~民間事業者が再生へ~という記事が掲載されていました。(リンクを貼ったのでご覧下さい。)


このローカル紙の記事によると新たなオーナーとなった㈱ロハスは、箱根などで休業もしくは廃業した旅館をリノベーションして再生し、これを運営するという経営スタイルのようです。

しかし、観光事業を巡る経営環境は新型コロナなどの影響で厳しさを増し、丹沢荘の営業再開は至難となったようです。


(訂正記事)

例年11月に丹沢湖畔をコースに開催される高校駅伝が中止になったと書きましたが、誤りでした。

高校駅伝は11月1日に開催され、小田原市にある相洋高校が優勝し12月20日(日)に京都都大路で行われる全国高校駅伝に出場することになりました。確認不十分で失礼しました。

リンクはこちらです。↓


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